小柳ゆき、苦悩を激白「仕事以外で歌えなくなった」 挫折乗り越え見つけた“自分”

歌手の小柳ゆきが28日、代表曲「あなたのキスを数えましょう」をはじめ、現在までにリリースした全音源をサブスクリプションで解禁した。鮮烈なデビュー、大きな挫折、逆境を乗り越えてつかんだ新境地……解禁された1曲1曲に1人のディーバの成長が刻まれている。21年間、どんなときも1度も立ち止まることなく歌い続けてきた彼女の真実に迫った。

単独インタビューに笑顔で応えた小柳ゆき【写真:塩見徹】
単独インタビューに笑顔で応えた小柳ゆき【写真:塩見徹】

デビュー決まらず1年以上温めていた「あなたのキスを数えましょう」

 歌手の小柳ゆきが28日、代表曲「あなたのキスを数えましょう」をはじめ、現在までにリリースした全音源をサブスクリプションで解禁した。鮮烈なデビュー、大きな挫折、逆境を乗り越えてつかんだ新境地……解禁された1曲1曲に1人のディーバの成長が刻まれている。21年間、どんなときも1度も立ち止まることなく歌い続けてきた彼女の真実に迫った。(取材・文=福嶋剛)

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――待ちに待った小柳ゆきのシングル、アルバムすべての音源がサブスクで解禁されましたね。

「本当にうれしいです。サブスクはよく使っていて、今まで知らなかった音楽にたくさん出会えるので、私を知らない音楽ファンにもぜひ聞いていただきたいですね」

――小柳さんは高校生だった1999年にデビューしました。あらためて当時を振り返っていただきたいのですが。

「デビューした頃は、大人の人たちが『すごいよ!』ってザワザワしている感じはありましたが、実は当の本人はそれを実感するタイミングがあまりなくて。周りはいつの間にか変わっていくのに自分は置いていかれているような、そんなギャップを感じていました」

――当時は、「彗星(すいせい)のごとく現れた」みたいな。そんな印象がありましたが、実は下積み時代は長かったとお聞きしました。

「下積みという程ではないですが、オーディションは小学生の頃からよく受けていました。中学に入っても部活(剣道)をやりながら歌の練習を続けて、高校に入ったとき、私をスカウトしてくれたマネジャーと一緒にデビューの切符をつかもうとデモテープを作り始めました。そこで作曲家の中崎英也さんと出会って、中崎さんのスタジオでひたすら曲作りをしていました」

――この時期に生まれたのが「あなたのキスを数えましょう ~You were mine~」(99年9月)だったんですね。

「はい。あの曲は何度も何度も録り直して、歌詞も変えながらデビューするまで1年以上ずっと温めていた歌なんです。他にもファーストアルバム『FREEDOM』(99年)に収録した曲のほとんどはこの頃に作っていました。でもなかなかレコード会社も事務所も決まらなくて」

――あれほどの名曲があるのになかなか事務所が決まらなかったなんて。

「このままデビューできないんじゃないかなって思ったこともありました」

――デビューできなかったら歌手をやめて別の道に進もうと考えたことは?

「それはまったく考えてなかったです。高校生でプロのスタジオでレコーディングできるなんて普通じゃ経験できないことですし。とにかく夢中で音楽をやっている大人たちに会って歌う毎日がとっても楽しかったです」

――必ずブレークできるという自信はありました?

「根拠のない自信みたいなのはあったと思います」

――たくさんの人たちの前で歌いたいと?

「そうですね。私が歌手を目指したきっかけが渡辺美里さんで、小さい頃から大好きでずっと聞いていたんです。ある日、テレビで見た西武球場(現:メットライフドーム)のライブでステージとお客さんが歌で1つになっていてすごく感動したんです。それから“私もたくさんのお客さんと1つになりたい”ってずっと思っていました」

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